ドラッグラグとは?

ある国では、使用可能な医薬品が他国では、使用できない、若しくは使用できるまでにタイムラグがある事を
「ドラッグラグ」と言います。

下記に公的情報を用いて得られたドラッグラグにおける米国、EU、日本における現状を記載致しました。

米国,EU,日本におけるドラッグラグの全体像

 1999年から2007年に米国、EU、日本のいずれかにおいて承認された新医薬品は398薬剤ありました。これらのうち約90%が米国、EUで承認されています。それに対し日本において承認されている薬剤は、その約半数でした。 新医薬品の半数以上が米国において世界初承認となっており、EUにおいては、そのわずかな遅れがみられるのみです(承認ラグ中央値:米国0ヵ月、EU 2.7ヵ月)。一方、日本では、承認ラグの中央値は41.0ヵ月にものぼります。9年間の調査期間で日米EUで承認された新医薬品のうち、約半数は日本では使用出来ずにいます。使用可能な薬剤でも、欧米に比べた平均的な承認の遅れは約3.5年にもなります。

 各地域では、その地域でのみ承認されている薬剤が一定数存在します。これらの薬剤は、他地域に先んじて該当地域で承認された場合もあれば、その地域でしかニーズのない薬剤もあります。これらの薬剤の相対的ドラッグラグを過大、もしくは過小に評価してしまう可能性もある事からいずれの地域においても承認されている159の薬剤を対象とした分析を行いました。結果、日本における承認ラグの中央値は、50.7ヶ月であり、米国(0.2ヶ月)やEU(1.8ヵ月)に比べ、4年以上の遅れが認められました。三つの地域ともにニーズのある薬剤を対象とした場合にも、日本における新医薬品の承認には、大きな遅れが認められました。

米国とEUとの比較

 米国とEUは、新医薬品の臨床試験が同時に進められ、統合的な承認申請のデータパッケージを使用する事があります。その結果、米国とEUとの間には、承認ラグの差が殆どありません。しかし、米国での承認は、EUに比べて一貫して早く、世界初承認の新医薬品に占める米国の割合は年々大きくなり、EUは、小さくなっています。米国とEUの審査期間中央値は、分析対象の新医薬品全体でみると、米国11.6ヵ月、EU 15.8ヵ月と約4ヵ月の差があります。臨床的重要度別にみると、臨床的重要度の低い薬剤群では、米国15.9ヵ月、EU 16.3ヵ月とさほど差がありません。しかし、臨床的重要度の高い薬剤では、米国6.2ヵ月、EU 15.2ヵ月と、差は9ヵ月にもなっています。これは、米国では、臨床的重要度の高い薬剤に対し、通商案件審査の簡易化(Fast Track指定)や先行調査(Priority Review)を行い、他国に先駆けて承認できる体制を整えているからです。

日本におけるドラッグラグの構成要素と要因

日本オリジンと海外オリジンの薬剤群の相違は、明確です。海外オリジンの薬剤は、承認ラグの大きさに最も強く影響を及ぼしてきました。また、オリジネーター国籍によるサブグループ分析では、日本オリジンの薬剤の3薬剤を除く94.5%が、日本において承認されており、78.2%が世界初承認となっています。それに対し、海外オリジンの薬剤が日本で承認されている割合は、49.0%に留まっており、承認ラグの中央値は、50.9ヶ月と顕著なドラッグラグが認められます。製薬協(製薬品工業協会)のアンケート調査によると日本企業が開発を行っている新医薬品の約40%が海外治験を先行させており、「日本のドラッグラグは日本企業が海外での治験を優先させている事が原因」と批判されました。しかし、少なくとも2007年末時点では、日本オリジンの薬剤の大半は日本で最初に承認がおりており、ドラッグラグの本質は、海外オリジンの薬剤への承認が遅れている事と考えられます。日本オリジンでありながら承認が遅れた例に oxaliplatin がありますが、これは新薬候補物質の段階で海外企業に先行され、日本の開発企業も交代して遅延した例外的なケースです。

 

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